機械翻訳に潜む危険性
昨今では、グローバル化や人材の多様化に伴い、機械翻訳を活用する企業が増えてきています。低コストかつ迅速に翻訳ができることから、有用性の高い翻訳手段として使用されています。
しかし、機械翻訳を使用して翻訳した文章をそのままウェブサイトに掲載してしまうと、Googleからペナルティを受けてしまうリスクがあります。スパム認定されないためには機械翻訳を利用した後、人の手で修正作業を行う必要があります。
本記事では、Googleからペナルティを受けないための機械翻訳の利用方法について解説します。
Googleのガイドラインについて
自動生成されたコンテンツのインデックスはスパム行為
Googleは、ウェブマスター向けのガイドライン(品質に関するガイドライン)の中で、自動生成されたコンテンツをウェブサイトに掲載することはスパム行為であると明言しています。機械翻訳による文章も例外ではなく、スパム行為に当たるとされているため、注意が必要になります。
そもそもGoogleの言うスパム行為とは、不正に検索順位を上げようとする行為を指します。
自動翻訳されたコンテンツは元の言語から単語を直訳したものになりがちで、意味が通じなかったり、ユーザーが理解できない不自然な文章になったりと、有益な情報にはならないと考えられています。
そのため、自社のウェブサイト上のコンテンツを、機械翻訳のみを利用して多言語化した場合、そのページはインデックス(検索結果への表示)の対象にしないことが大切です。
自動翻訳したテキストを人間が編集した場合は問題ない
自動翻訳した文章をそのまま載せるだけではスパム行為として認定されてしまいますが、自動翻訳されたテキストを人間の翻訳者が編集した場合はスパム行為扱いされないため、問題はありません。
ブラウザの翻訳機能を利用することはスパム行為に該当しない
外国語のウェブサイトを表示すると、Google Chromeブラウザの機械翻訳機能による翻訳ツールを利用することができます。その場合、表示言語をブラウザツール上で切り替えてもURLが変わらないため、スパム行為には当たりません。
検索エンジンからペナルティを受けるとどうなるのか
機械翻訳したそのままのコンテンツをインデックスすることは、検索エンジンを欺く不正行為とみなされるため、検索エンジンから他の不正行為と同様のペナルティを受けることになります。また、大企業であっても個人サイトであってもペナルティは発動されます。
アルゴリズムによる自動ペナルティ
2018年8月のGoogleによるMedic Update(医療アップデート)のように、アルゴリズムの変更によって問題のあるコンテンツの順位が大幅に落とされるペナルティがあります。一般ユーザーからのスパムレポートをベースに日々改善されており、このペナルティを受けた場合は問題のあるコンテンツを修正することで自動で解除されるようになっています。再審査リクエストは不要です。
手動ペナルティ
一般ユーザーからのスパムレポートを元に、Googleの担当チームが問題を確認して検索結果への表示を一時的に取り消すものです。Google Search Consoleを利用していれば、そのペナルティを受けた通知がなされます。数十日単位で検索結果から削除され、未対応だと更に削除期間が長くなると言われています。修正後は再審査リクエストを行い、検索結果への表示を要請しましょう。
検索結果(インデックス)から削除
Googleの品質に関するガイドラインには、「場合によってはスパムサイトをGoogleの検索結果から完全に削除することがあります」と明示されており、悪質なサイトの場合は検索結果から完全に削除されることがあります。
スパム認定されないための機械翻訳活用法
Googleからスパム認定されないための機械翻訳の使い方をご紹介します。
テキストを編集する
機械翻訳によって翻訳された文章をそのまま利用したコンテンツをウェブサイトに載せるのはSEO対策としては有効ではありません。機械翻訳による翻訳は単語の直訳になってしまうため、文法は合っていても文脈がおかしい、前後の文章からして意味が通らないなど、翻訳者による翻訳のような自然な文章への翻訳はできないと言われています。
そのため、機械翻訳を使用した後には、人間による修正(ポストエディット)やネイティブチェックを依頼して自然な翻訳に直す必要があります。
質の高い翻訳サービスの利用
無料の機械翻訳を使わずに翻訳会社に依頼することで、人間による自然な文章を実現できます。そのためスパム行為としてGoogleからペナルティを受けることもありません。
海外向けのSEO対策で注意すること
検索エンジンが異なることを意識する
日本ではGoogleやYahoo! JAPANが検索エンジンとして利用されることが多いのですが、中国ではBaidu、ロシアではYANDEX RUというように、独自の検索エンジンが利用されている地域もあります。そのことを念頭におき、対象国の主要な検索エンジンに合わせた対応が必要です。
言語ごとに独自のURLを用意
多言語でのウェブサイトを作る場合、言語ごとに独自のURLを割り当てる必要があります。ドメインを国ごとに変える、サブドメインを国や言語ごとに変える、サブディレクトリで分けるなど、同じ内容でも言語ごとにまとめることで、訪れたユーザーに自社サイトについて知ってもらいやすくなります。
多数のエリアで利用されているサーバーを使う
掲載されているサイトが自国のサーバーにアップロードされているかどうかで、SEOとしての評価が変わります。基本的に、多数のエリアで利用されているサーバーが良いとされているため、AWSなどを利用してサイトを構築するとよいでしょう。日本のサーバーでは海外からのアクセス制限をかけているサーバーも多いため、注意が必要です。
Googleからペナルティを受けないコンテンツ作り
機械で翻訳した文章をそのまま載せるのはリスキーです。
SEO対策で上位表示させるためには、Googleが提唱する「品質に関するガイドライン」を把握し、ユーザーの読みやすさを一番に考えることが重要となります。
機械翻訳だけでは読みやすい自然なコンテンツを作成することは難しいため、翻訳者やネイティブによるチェックを行い、自社ホームページやコンテンツの評価を下げないように上手に機械翻訳を利用するとよいでしょう。